2003.12.30 UL 森で初めてのベスト判 ベストポケットコダック (V.P.K)!憂い奴ですよー!

 ベストポケットコダック(VPK)!って 90年も昔のあのベス単の事でしょ EOSで復活したって・・ どういう事?

 ベストポケットコダック(VPK) とは、
 1912
年(大正元年から15年間に”180万台”も作られたという! これまでの感光材「湿板や乾板」に替えて世界で初めて
 「ロールフィルム」を使った、蛇腹式 ポケットカメラのベストセラー機です、 当然ながら後の :ベスト判機や:蛇腹機の原型でもあります・・
 この写真機の最大の特徴は感光材にそれまでの乾板ではなく、今では当たり前の、ロールフィルムを使い巻き解きながら連続撮影が出来る事であった
 世界有数感光材メーカーの「コダック社」が写真機とその感光材として、世界初のロールフィルム「127判」を同時に発売、
 価格も安かった事が大ヒットのゆえんであるとされる・・ 当然ながら押しも押されぬ、超名機!になった
 : 日本では最も安価な単玉レンズ付きの、レンズ前枠(フード似)を外して得られるソフトな描画が大人気! ベス単と呼ばれてもてはやされたと云う
 まずはお姿をご紹介・・  セミ判は、6.5x4.0cm と、小さいフォーマットゆえに その上に蛇腹なので筐体もほら! こんなに小さいです!
                             (画像をクリックすると拡大表示します)
ベスト判 ファミリー 御三家+1 これぞ単玉 VPK 幻のベス単! VPK!レンズRECTILINEAR f=1:8 蛇腹と矢来、手前はパーレット!
 上の左端の写真ご覧下さい・・
  左端がVPK!本命の「ベス単」で、単玉ンズ(2枚合わせダブルメニスカス)を使う機種で、日本の愛好家には「ベス単」と呼ばれて親しまれた
  右隣は:
「ピコレット」(単玉)大ヒットのVPKを追ってドイツのネッテル社から発売..ほとんどVPKのコピー機、あのテッサーを装備する高級機も
  あった
  次は:日本の小西六(後のコニカ)から発売の
「パーレット」 右端は:「パーレット」 の最終型です、終戦後の部品かき集め品で、構成が面白い

  レンズの繰り出しに矢来と蛇腹とを組み合わせたレトロな作り、とても小さな可愛い奴!蛇腹を畳むと.. それこそベストのポケットに入るくらい
  写りはって? それがなかなか侮れませんよ! フォーマットはベスト判・・ 6.5x4cm フィルムは127判(ベスト判)のロールフィルムを使う


  15年間に180万台も作られたというV.P.Kは、あまりの大ヒットに、ごたぶんにもれず、2匹目のどじょうを求めて、後追いで
  :ドイツネッテル社のピコレット、更には日本の:小西六(後のコニカ)からパーレットが発売されました、、 
  中でも”VPK”はこの時代の写真機の世界を席巻した名機中の名機!です・・
 筐体を良く見ると・・
こんな恰好の可愛い奴です! 蛇腹を引っ込めるとペッタンコ! 背中に蓋がある!調整穴かな? 背中の丸穴はあれに好都合?
 実はこれに使う127ベスト判フィルム はもう販売していないんです・・ じゃ写真もう撮れない?
 でも・・ なんとかして撮影できないものか? と・・ ある妙案が浮かんだ・・
 なにはともあれ・・・まずは下の試写の結果をご覧下さい・・・とにかく撮影できました!
 実はこれ、、デジタル撮影なんです、が・・ えっ? なんですって?・・  まあうんちくは後回しに・・しましょっ!
 おっ!これ! これ! あれあれ?
   思いのほか現代風の写り・・ びっくり! モノクロの時代のレンズなのに・・ 独特の軟らかい描写に・・ すっかり気に入ってしまった!
   これです・・ これが見たかった! 未完成がゆえのくせ、欠点? が逆に独特の味を出している!
   それに、なんと・・ 原型ではない機能!マクロ領域までカバーできてしまう・・
日本平から富士山 f 8  少し絞っても? f 16 しっかり絞ってみた? f 32 キラキラ光るススキ f 8
漆の紅葉は半逆行 f 8 漆の紅葉(30cm) f 8 漆の紅葉マクロ仕様外? f 8 絵画みたいな描写に感激 f 8
JR焼津駅前モニュメント f 8 いつもの定点焼津商店街 f 8 庭のもみじもふんわりと f 8 ふわっと オギザリス f 8
 で・・ 結果は?
 ちょっと写りすぎかな?・・ とにかくめっぽう良く写る!
 思いのほか抜けの良いクリヤーな発色なのにびっくりした! 発色はもっと泥臭い色かと想像していたのだが・・
 モノクロ時代のこのレンズ・・ 意外に優れものだ! とろっとした独特のお味がある・・ 思ったほどソフトではないが雰囲気は良い?
 但しこの試写の機種はベス単ではなく、レンズは英国のダルマイヤー社 <RAPID RECTLINEAR f:8>2群4枚構成
  (単玉機の試写は下記にて!)
 おっと!ところどころピントが甘いのは腕のせい、なんたって蛇腹を前後してピント調整? えらく合わせ難いです、差し引いてご覧下さい、
 言い訳ですが!
 それにしてもこのV.P.Kにとって何十年ぶりの光だったのかな?最後の撮影は何処で何を?だったのでしょう?
 と言うわけで・・ お待ちかね! 本格的な試写です!

 更にこだわりの銀塩撮影・・ それに、あの究極のベス単フード外し、こちらの 試写のページ でどうぞ!
 ベスト判ファミリー2番手、ドイツのピコレットと日本のパーレットを含めての、試写をご覧下さい 森への到着が後になった為、追試写で
 追いつきました!
 ところで、 これ・・フイルムがないのにどうやって撮ったの?!
 さて 肝心の撮影なのですが、残念ながらベスト判フイルムは現在は販売終了しています、よって入手不可能!
 残念ながら、我等素人には、撮影不可能なのです、が!? 
森の奥の手!?「重連撮影法」なら、フイルムが無くても撮影できます。
 ベスト判フィルムがなくても”撮影”する方法?・・ <<思案の結果・・以下の手段にたどり着いて!・・なんとデジタル撮影を可能に>>
 実はこれ ”重連撮影法”で撮影しました!? んっ・・! 何だそれ? SLじゃあるまいし??、あっそうか!
 そうです!元祖!森の「重連撮影法の実際」はこちらで詳しく説明いたします!
 加えて、本編のベス単のフード外しを含む本格試写はどうぞこちらの試写のページでとくとご覧下さい! 
 後追いのピコレット、の試写はこちらの試写のページで仰天してください、VPKやパーレットを遥かに超える!


 こんな愛らしい、ベスト.ポケット.コダック・・ その素顔など・・ うんちくをもう少し!
 なおVPKの個体は、数台のボロボロのお宝を、、某オークションで複数台を格安入手出来ました!
 少しだけ、今のフイルムにあたる感光材のお話を・・
 ベストポケットコダックは、感光材メーカーである、コダック社が、写真機と感光材を対で発売した事が、大ヒットのゆえんであるとされるが
 この写真機の最大の特徴は、他にも、、ベストのポケットにも納まるという、画期的な仕組みがあり、当時としては抜群のポータビリティーが
 売り!であったに違いない
 感光材料は、それまでの乾板ではなく、ロール状に巻いたフィルムを、解きながら連続撮影が出来る便利な仕組みだ!
       
コダック社が感光材メーカーだった、ことから、新規格のロールフィルム「127判」も同時に発売された・・
       これが従来にない、全く新しい発想の裏紙付きフイルムの出現であった・・ 
昨今のデジタル化に押されて行方が心配!
 当初の写真機の感光材料は、銀板(銀メッキした銅版など)を使用、、次に湿板から・・乾板へ進化・・ そして現在の銀塩フイルムへと、
 進化が進んで・・ ついには、感光原理が全く異なる撮像管等の光電子真空管を経て、
「CCDやCMOS」等の「電子撮像素子」へと
 進歩を続けてきたわけですが・・
 それに、初期には1枚撮影するたびに感光材料を、未露光の新しいものと交換する必要があり、それも着脱を遮光状態でお行わなければ
 ならないので、9
 とても面倒なものだった、、そこで、連続撮影を可能にする仕掛けがいくつも出現したが、その中で感光乳剤をフイルムに塗って、
 これを紙に貼り付けてさらにこの紙ごとロール上に巻いたものが出現、これが現在のロールフイルムの原型、現在でも中判フィルムの
 120/ブローニー判はこの形式である、

 この方法は映画フィルムにも応用され、映画用の長尺フィルムが出現(勿論裏紙無し)、後にライカカメラの出現で裏紙を使わずに金属缶
 (パトローネ)に収めた写真用135(35mm)判フィルムに進化する!遮光用裏紙はなく替わりに金属缶(パトローネ)に収めて遮光状態で
 供給した、現在の135判!
 つまり・・ レンズで結像させた画像をフイルムじゃなく、感光乳剤を塗ったガラス板にレンズを通した画像を写して記録していましたが、
 これじゃなんとも不便だったし、、 もっとも写真機の原型となったとされる”カメラオブスキュラ”では、人間が暗箱に顔を突っ込んで、
 この結像を紙に写し取っていた?・・

 初期の湿式では、撮影の現地で、おもむろに遮光状態で感光乳剤を調合し、ガラスに塗って、写真機に装着して撮影(露光)して・・
 なんともとめんどうな作業ったらないですよね、
 少し進歩したその後も、乾式(乾板)といって、あらかじめ乳剤をぬったガラス板を作って遮光して、おいて使う方法も出来ましたが、
 これはとて面倒な事・・
 第一、1枚撮るごとに、乾板という、ちょうどフイルムにあたる感光板を収めたホルダーを遮光状態で脱着しなければならないから、、
 更に技術が進歩してガラス板でなくフイルムに塗った乳剤に画像を写して記録するようになりました、画期的ですね・・
 ガラスみたいに割れたりしないし薄くて軽くて、、でもこれとて、フイルムはカットシートで、撮影前に1枚ずつ、感光しないように装着し、
 撮影したら遮光して取り出さねばなりませんよね・・

 ちなみに、大判での撮影は今でもこの方式で行われています、ホルダーに入れた大きなフィルムシートを抜き差しして(>_<)
 そこで開発れたのが、、フイルムを紙の帯に貼り付けてロール状に巻いて、このロールごと写真機に格納しておいて、
 撮影前にこれをレンズの後ろの結像面へ引き出して、そこに結像させて感光、記録するようにした・・これは画期的なしくみですよね
!(^^)!
 という事で、V.P.Kとは、あのアメリカ最大のコダック社で、、大正元年(1912)から15年間に180万台も作られたといい
                    これまでの乾板に代わってロールフィルムを使う(売る為の)ポケットカメラのベストセラー機です。
 まあ、車で言えばあのT型フォードに匹敵するロングセラーモデル、、フィルムフォーマットは6.5x4cmのベスト判
 ロールフィルムは今はなき127タイプ
 中でも初期の低価格版の単玉レンズのモデルは日本ではある理由? で特に重宝がられ「ベス単」と呼ばれて親しまれたという・・
 この単玉モデルには球面収差の大きい部分を遮る為のフード(シェード)が付けられていたがこれを外すと開放値で f 11 が f 6.8 くらいに
 なり球面収差がもろに出て、独特のソフトフォーカス画像が得られたと云う (森で..実証済です)・・
 ある理由?とは この単玉モデルには球面収差の大きい部分を遮る為のフード(シェード)が付けられていたがこれを外して球面収差
 をもろに出てしまう!と.. 独特のソフトフォーカス画像が得られたという、コダックもびっくりの日本人の発案という。
 1台目のV.P.K君!
   外観はなかなか綺麗、塗装はげはあるが蛇腹に穴はなく、機構部も大変しっかりしていてさびや汚れもない洗浄でピカピカ!
    レンズに傷やカビ、シミはなく、汚れと埃が少々お掃除でOK?・・ 絞りOK、シャッターは完動、程度がいい個体にあたったよ様だ!
 レンズは英国のダルマイヤー社 <RAOID RECTLINEAR> 単玉ではなく2枚か2群の様だ、 シャッター速度設定は 「1/25と1/50とB」と
 「T」:タイムモード(1度押すと開き、もう一度押すと閉じる)しかない!
 事後の調査によれば本機種は後期 178000台の上位機種で、装着レンズはベス単(初期のVPK)のような単玉(ダブルメニスカス)
 <実際は1群2枚の立派な色消しレンズ>ではなく・・

 英国のダルマイヤー社の<RAOID RECTLINEAR>タイプのれっきとした2群4枚構成だ!・・ ちなみに、この後にトリプレットやテッサー
 付きが出現! :最初の機種&試写は単玉レンズ機ではないので、この意味で.. 正当なベス単?ではないのですが、
 これらも 一般的にはベス単と呼ばれています

 2台目のV.P.K君!
   レンズ以外はゴミ?バラバラに分解された状態でお着き・・ レンズは洗浄でOKか蛇腹に穴はなく機構部もそれなりに、、
    
レンズに傷やカビ、シミはなく、汚れと埃が多いがお掃除でOK?・・ 絞りOK、シャッターは不調、本体は分解されて、部品状態だ!
 おっ!これは紛れもなく、待望のベス単だ・・ もっとも入札前に確かめてあったのだが、、シャッターが不調だが、重連撮影には不要!
 開放になりさえすれば、問題ない・・ リンクをいじって、開放Tの状態を保つようにした、問題のフード(実際は周辺像のの流れを隠す、
 遮光制限リング?)も付属している、
 本体は分解したものの組み上げ出来なかった様で、バラバラ状態、、レンズユニットのみ、1台目の本体へ移植するもくろみで入手、、

 ※:なお、我が家にお着きの3台目のVPKは革張りの立派な奴だったが、ボロボロすぎてレンズを外してよそで試写・・
 以来、寝たきりになってしまった?
 フード外しの技法はそのソフトな描写がもてはやされ、当時のアマチュア写真家がこぞって作品を発表、ベス単フード外し!ともてはやされた
 という、ので..
 実は その写りを再現してみたくて、VPKを探し当てたのが、隠せぬ一因だが.. はたして写りはどうだった?
試写はここから・・実に満足でしたよ!

まっ!・・ デジだ、銀塩だと、あまりこだわらず・・本来の昔レンズのお味を・・楽しみましょうね!
なんと90年以上りの時を越えてDigitalで蘇ったVPK 写りもGood!これは思わぬお宝でした!